サンディック株式会社は、DIC株式会社(旧大日本インキ化学工業株式会社)と旭化成株式会社の出資により、主に梱包容器用として使用される二軸延伸ポリスチレンシート専業メーカーとして設立されました。設立後は、国内業界トップシェアのリーディングカンパニーとしての地位を維持し続けています。 同社は自社内で利用する生産管理・再加工システムを、長年C/S(クライアント/サーバ)で運用していましたが、ローコード開発ツール「TALON」を採用し、Webシステムとして刷新し、運用しています。
今回は、生産管理・再加工システム刷新プロジェクトのサンディック株式会社 三重工場 副工場長 穂高 裕介様、製造課 課長 西村 伸吾様、製造課 堀井様にお話をお伺いしました。さらに、システム開発を実施したAJS株式会社 市川 政伸様にも同席頂き、お話を伺いました。インタビューはTALONの開発元である株式会社HOIPOIの古関が行いました。
Visual Basic、Excel VBAベースで作ったシステムが大量にあり、長年使い続けてきたが、メンテナンス出来るメンバーがいなくなってきており、このまま使い続けると大きな問題が生じてしまうと感じていました。
特に現場で利用していたVisual Basic製のシステムはOS対応も終わっており、機能の改修が出来ない状態で延命していました。 Web化したいと考えていたが、Visual Basicによるリッチな画面で作っていた為、そのままのUI/UXをWebで実現しようとすると開発コストがかなり掛かってしまうという懸念がありました。
インタビュー風景 左:堀井様 中央:西村様 右:穂高様
長年、いつかは対応しなければならないと考えていましたが、そんな中、AJS社よりこれらの課題解決にローコード開発ツールTALONを利用した提案がありました。
TALONはVisual Basic的なリッチなUI/UXをWebで表現ができ、かつ、既存のシステムの内、Excelを利用している部分は流用して共存する事も可能という事が分かりました。
さらに、開発を実施しながら実際に利用する機能画面をユーザが確認しながら進める事が出来る事が分かり、それであればイメージ通りの物が完成すると判断し、採用を決定しました。
レガシーシステム(C/S)を限られた人員かつ短期間でTALON化
今回のプロジェクトは要件定義から運用テストまで5.2か月の工期で実施しました。実際の開発は、サンディック社側が主に要件を固め、開発はAJS社が担当しました。AJS社の開発メンバーは1名で実施しました。
サブシステム | 画面種別 | 機能数 |
---|---|---|
共通 | TALON | 4機能 |
生産実績 | TALON | 23機能 |
Excel | 5機能 | |
再加工実績 | TALON | 16機能 |
Excel | 2機能 | |
機能数合計 | 50機能 |
マルチブロック配置で旧システム(C/S)の画面レイアウトを継承
TALONの他機能呼出で関連するテーブルのデータを裏で更新
既存のExcelを再利用
TALONからDB接続情報を渡し、Excel側の環境非依存化対応
・Web化を実現しましたが、以前のシステムと同等の表現力・操作性が再現出来ており、利用する現場での混乱もなく、スムーズに切り替えが出来ました。
・これまでは担当者の端末が更新で変更されるたびにシステムのセットアップが必要で時間が掛かっていたがWeb化により不要となった。
※副工場長の穂高様
元々は既存システムを置き換えるという目的でしたが、プロジェクトを進めていく中で、TALONであれば開発するシステムのイメージを共有しながら進める事が出来るので、開発中に既存システムには存在しない仕組みも盛り込みたいという要望が生まれました。それらも問題なく盛り込むことが出来ました。
具体的な1例としては、製造の再加工を行う際に、既存システムでは状態管理を現場が欲しいレベルで行えておらず、もっと細かな状態を把握・管理したかった。その要望がTALON開発中に生まれましたが、非常に素早く機能追加という形で実現しました。
開発中に実際に動くものを見ながら確認して進める事が出来たので、安心して進める事が出来ました。さらに、従来であればシステムが完成したタイミングで情報システム部門が、実際に利用する部門に対して教育を行いますが、今回は開発中に利用部門も十分に利用イメージを持ちながら進める事が出来たので、教育に掛かる期間やコストは劇的に削減する事が出来ました。
イメージを確認しながら高速で開発を行っていくことが出来るツールだと感じました。但しデータベースモデルを主体に開発する仕組みなので、データベースモデルの設計を行える人材は必須となる。それさえ出来ればユーザ主体での開発も問題なく実施出来るので、そのような企業にお勧めできます。
今回導入したシステム以外にもVisual Basicによるシステムは多数存在しているので、それらのシステムをTALONに集約していく予定で進めています。
さらに、IoT、DX施策も実施する必要があり、それらにも取り組んでいく予定で進めていますが、TALONはリアルタイムでのグラフ表現やガントチャートなどのUIを持っており、それらがマッチするのではないかと考え、現在検討を進めています。
※AJS社の設計と開発を
担当した市川様
インタビューの中で、「実際に業務システムを利用する部門のメンバーが開発中に利用イメージを正確に把握する事ができ、実際に本稼働後に利用する際も齟齬なくスムーズに利用する事が出来た」「開発中に要望が生まれて、スムーズに追加要望も盛り込むことが出来た」というお話が印象的でした。開発をして、最後に確認をしてみたら思ったものと違ったというシステム開発の話はよく聞きますが、今回のような進め方であればそのようなトラブルは起きえないと感じました。このような開発に当社で開発したTALONを使っていただけたことは大変嬉しいです。
インタビューを受けて頂き、誠にありがとうございました。今後もより良い製品になるよう、絶えまぬ機能強化・改善を続けていきます。
インタビュー、文:
株式会社HOIPOI 古関 雄介