山形県天童市にある日新製薬株式会社様は、医薬品の製造販売を行っています。医薬品製造事業として、自社・受託製品を合わせて約600品目の製品を製造しています。同社は、積極的な設備投資及びシステム投資を行っており、2014年12月にシステム開発ツールとして「TALON」を導入しました。2018年01月25日に導入事例セミナーにてお話しいただいた内容をレポートします。
2013年に、データの信頼性向上及び業務効率化・ペーパーレス化を目的に全社統合システムを導入した。同システムの導入により、当初の目的であったデータの信頼性やペーパ―レス化などは飛躍的に進んだものの、システム化により得られた膨大なデータの集約、確認にシステムに不慣れなところもあり、多くの時間を要していた。
※全社システムイメージ。多くのシステムが存在している。
そんな折、生産スケジューラのデモと一緒に超高速開発ツールである「TALON」の紹介があった。一通りデモを見て、直面している課題の解決に使えそうだと直感し、すぐに導入検討を開始した。導入検討において、直面している課題解決のみではなく、社内で内製化されている様々なシステムに応用ができるとわかり、紹介からわずか数ヶ月で正式導入に至った。
導入から3年間使用した中で、活用のステップは大きく3つに分かれる
「TALON」導入当初は、統合システムから得られる膨大なデータの集約化に取り組んだ。複数のシステムのデータを集約して1つの画面・帳票に表示させることで、必要な情報を簡単に参照することができ、作業の効率化に寄与した。なお、医薬品製造に使用するシステムは、データの完全性を保証するために様々な制約・要件が求められており、「TALON」にて表示されたデータをそのまま活用することができないが、膨大なデータの中で1つの情報を探す際に、「TALON」内で集約された情報をインデックスとしてのみ利用することで、その問題をクリアしている。「TALON」導入当初は、統合システム導入の環境変化のなかで、疲弊している社内に浸透し難いと感じ、様々な社内啓蒙活動を行った。主な活動内容は以下の通りで、その結果、「TALON」の有用性が認知され、徐々に社内利用が増加した。
活動内容 |
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全部門に対してTALONのプレゼンを実施(1か月程度) |
デモを行い、活用事例や効果について説明 |
各部署にて様々な独自システム(Excel・Accessなど)を構築し管理されていた。部署によっては、そのシステムやデータの管理が不十分であったり、ライセンスを個々で購入している状態であったため、各部署のシステムを調査し、「TALON」への移行を推進した。その結果、社内の様々な管理システムを「TALON」へ移行することができ、管理面の強化及び無駄なシステム保守費用と購入費用を抑えることに成功した。
各部署の管理システムにて単純なExcel・Accessなどを使用したシステムは「TALON」へ移行することに成功したが、徐々に社内のニーズも複雑化していき、各部署にて購入していた管理システムの移行や高度な要望に応える事が難しくなってきた。TALONは標準機能であるルールエンジンで複雑なシステム構築が可能で、さらに、プログラムを埋め込んだり、呼び出したりすることで業務システムであればほぼ要望通りの物が出来るという事は分かったが、具体的にどこまでが標準機能で構築出来て、どこからがプログラム記述するべきなのかという判断が付かない事が増えてきた。そこで、新規のシステム開発について「TALON」の開発元メーカーに構築の支援を依頼することとした。依頼した結果、要求した仕様を短期間・低価格で実現することができ、改めて「TALON」の高速性を実感することができた。また、「TALON」で構築した機能はすべて機能設計書として設計内容がすべて網羅された設計書を出力することが出来るため、どのような設定を行って機能が実現しているのかの確認が容易で、更なる技術習得と応用に非常に役立った。これにより、社内からの複雑な要望にも徐々に対応できるようになってきた。。
効果としては以下の通り。
社内のIT化に寄与した |
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統合システムの情報検索ツールとして活躍し、調査・確認時間の短縮に寄与した。 |
柔軟なシステムであり、社内で使用されていた様々な管理システムとして活躍。 |
基幹システム入替によるカスタマイズ要件を最小化することが出来た。 |
簡単に機能追加やシステムが構築でき、導入3年で構築した機能数は400を超えた。 |
社内のITリテラシーの向上 |
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システムを内製化することにより、これまでできなかった機能追加などが簡単にできるようになり、システムでの効率化を社員が共有できた。 |
効率化⇒システム化の文化が根付いた。 |
情報部門の位置づけが変わった |
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自社でシステム開発が可能となった。 |
従来の守りの情報インフラという位置づけに、攻めの企画・開発が加わった。 |